ソレウス・プッシュアップって何? 座ったままできるエクササイズに期待できることとは?

仕事をしながらでも簡単にできる、ヒラメ筋のトレーニング法とその効果をご紹介。

businesswoman sitting taking off her high heels
Westend61Getty Images

長時間の座りっぱなしが体の負担になることは分かっているけれど、座り姿勢を余儀なくされている人も多いのでは?

そんな人に朗報。デスクやソファに座ったままできるソレウス・プッシュアップという超がつくほど簡単(で地味な)エクササイズが、健康に大きな効果をもたらすという最近の研究が注目されている。

今のところ更なる研究が必要な段階ではあるけれど、気になる人は今から試してみてはいかが?

ソレウス・プッシュアップとは

women's feet
Yuki KondoGetty Images

ソレウス(soleus)とは、ふくらはぎを構成するヒラメ筋のこと。プッシュアップは腕立て伏せ。つまり、ソレウス・プッシュアップを日本語に直訳すると「ヒラメ筋腕立て伏せ」となる。全く意味が通じない言葉だけれど、ソレウス・プッシュアップは前述の研究を発表した研究者たちが作った造語なので、そこまで深く考えないで。

ふくらはぎは、ヒラメ筋と腓腹(ひふく)筋という、2つの大きな筋肉で成り立っており、ヒラメ筋は疲労に強い遅筋繊維で構成され、長時間立ったり、歩いたり、走る時に使う。

ウエイトトレーニングに、スタンディング・カーフレイズというものがあるけれど、これは、負荷をかけた状態で足首を屈伸させて爪先立ちになることを繰り返すもの。主に腓腹筋の筋力・筋量を増加させるトレーニングである。一方で、ソレウス・プッシュアップはヒラメ筋をターゲットにしたものだ。

どんな効果があるの?

pink wooden toy block with question mark
photograph by dorisjGetty Images

ヒラメ筋を鍛える効果として疲労予防や血流改善などがよく挙げられるけれど、前述の研究では、代謝を高めて血糖値を下げることが示唆されている。

研究で、ソレウス・プッシュアップを継続的に行った参加者は、全身の代謝レベルが上昇し、ブドウ糖飲料を飲んだ後の血糖調節が52%改善したことが確認されている。

一方で、参加者はソレウス・プッシュアップをたくさんしていたということは実生活での応用を難しくしているポイントなので要注意。

ソレウス・プッシュアップは、全身のわずか1%の筋肉を使い、1分間の消費カロリーはウォーキングの半分とエネルギー消費量が比較的少ない。

実験では、最長で270分(!?)、短い休憩を挟みながら、かかとを上げ下げしていたんだとか。ちなみにヒラメ筋は遅筋で疲労しにくい性質があるためか、実験中に筋肉痛になることはなかったそう。

やってみる価値はある?

businesswoman working at computer
Malte MuellerGetty Images

ランニングやウエイトリフティングではエネルギー貯蔵量をより早く消費する一方で、ソレウス・プッシュアップでは、継続的に行うのに必要なエネルギーが少なくて済む。

つまり、一度に何時間も行うことをいとわない限り、代謝を高め、健康に役立つ、低強度、低負荷の活動を探している人にはぴったりのエクササイズかも。

また、仕事の会議や長時間の飛行機移動で長時間座っていることが多い人は、1時間ごとに数分間のヒラメ筋プッシュアップをすることで、血行を良くしてくれる可能性も期待できる。

あるいは、病気やケガで運動ができない人にもおすすめ。

ソレウス・プッシュアップは筋力の増加や、ダイエット、全体的なフィットネスや運動能力の向上など、通常のエクササイズがもたらす効果は期待できないけれど、座りっぱなしのライフスタイルがもたらすデメリットを軽減する、リスクもコストも低いエクササイズなので、根気強くできる人は試してみる価値はあるかも。


やり方

close up of woman's feet and shoes with high heels bridal fashion concept
Anna BlazhukGetty Images

ソレウス・プッシュアップはウォーキングに似ているように見えるかもしれないけれど、実は真逆なんだとか。

ウォーキングではヒラメ筋が使うエネルギーを最小限に抑えることができる一方で、ソレウス・プッシュアップは、ヒラメ筋が使うエネルギーを長時間最大化するように設計されている。その過程でダイナミックにカロリー消費を高めることができるという。

  1. 椅子に腰掛け、足を床につける

  2. かかとを上げながらつま先を地面に押し付ける

  3. かかとを下げる

  4. 繰り返す

    ながら運動は現代人にとってはありがたい限り。負荷も少なく、道具も必要ないので、気になる人はぜひトライしてみて。

    ライター 1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。Instagram: @mic_kwk 
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