トレイルランニングを始める前に知っておくべき7つのこと

岩やぬかるみを山ヤギのように飛び越える日は遠くない。

in winter running sports shoe, woman running in the forest
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オフロードを走るのは、ランニングに対する愛を深める手段。舗装された道だけを走ってきた人にとっては少し怖いかもしれないけれど、やぶを切り開きながら山頂を目指すことだけがトレイルランニングの定義じゃない。

フットウェアブランド『メレル』のアンバサダーでアダプティブアスリートのダン・コシックによると、トレイルは想像以上に身近な存在。「人里離れた原野だけでなく、近所の歩道から3歩外れた砂利道も立派なトレイルです」

そして、トレイルランニングには数々のメリットがある。まず、柔らかい地面はコンクリートの地面より関節にやさしい。ユニークな形状や質の地面では、それに合わせてスピードを変えたり違う筋肉を使ったりする必要も出てくる。このような環境では意識も一点に向けやすい。

「自然の中に身を置いて、体を動かしながら大地とつながり、自分がもっとも人間らしく感じられることをするというのは、人生を変える、そして肯定する経験です」と語るのは、『メレル』のアンバサダーでウルトラランナー兼クロスカントリーコーチのミルナ・ヴァレリオ。「だから私はトレイルランがやめられません」

自信を持って安全にトレイルを走りたいなら、以下の7つのポイントを抑えておいて。

トレイルランニング用のシューズを買う

コシックによると、ロードランイング用のシューズでトレイルを走るのはオススメできない。舗道を速く走るためにデザインされた、靴底が薄いタイプのシューズは特にNG。「グリップが弱いシューズや足がしっかり守られないシューズでは、トレイルランニングが何倍もハードになって、惨めな思いをすることになります」

だからこそ、あなたが走りたいと思っている場所で十分に機能するシューズを探すことが大切。ロードランニング用のシューズの中にも柔らかい地面や舗装されていない道で使えるものはあるけれど、岩や木の根が見えるようなトレイルには、もう少し頑丈な靴が必要。理想的なトレイルランニング用のシューズは履き心地がよく、危険な障害物から足を守ってくれて、岩や砂に対しても十分なグリップ力を発揮する。ぬかるみが多い場所や湿地を走りたい人には、防水加工のシューズがオススメ。

事前準備を怠らない

舗装された道を走るときはシューズを履いて、外に出て、走り出すだけでいい。でも、トレイルを走るときは、もう少し入念な準備が必要。外出時間が長くなる場合は特に1時間ごとの天気をチェックしてから家を出て。ヴァレリオは、家を出てすぐ、あられを伴う強烈な雨に降られて痛い思いをしたことがある。

『AllTrails』のようなアプリで自分のルートを事前に決めて、マッピングしておくことも忘れずに。「テクニカルなトレイルなのか、ぬかるみは多いのか、ガレ場(山の斜面に岩石が堆積しているような場所)はあるのか。そのような情報によって必要なギアが変わります」とヴァレリオ。

そして最後に、自分のルートと予想される帰宅時間を身近な人に伝えておこう。そうすれば、万が一あなたの身に何かあっても、誰かが救難救助隊を送ってくれる。

重ね着をする

woman cross country runner ascends trail above lake
AscentXmediaGetty Images

トレイルランニングでは、アウトドア用のハイテクな衣類を着用したほうがいい。防水加工のレインジャケット、ウィンドブレーカー、サーモジャケットはトレイルランニングの必須アイテム。寒い日には、多機能ポケット付きの軽量ベストを着用しよう。

ヴァレリオが言うように「山の天気は一瞬で変わる」ので、不適切な厚着や薄着は身体的に不快などころか非常に危険。

「急な丘を上ったあとでも体温の上昇に気づかない人は多いです」とコシック。「必要に応じて1~2枚脱げる状態にしておかないと、体がオーバーヒートしかねません」。いまの時代、ウォーターボトルより小さく畳める超軽量のアウターは、どこにでも売っている。

適切なアイテムを持っていく

丘や山を越えるつもりなら、トレイルランニング用のトレッキングポールに投資したほうがいいかもしれない。そうすれば「下半身にかかる負担が減るので、長距離のランニングでも脚が疲れにくくなります」とヴァレリオ。

文明社会を離れる以上は、短距離のランニングにも食糧と水も携帯しよう。トレイルランニングでは、道に迷って予想以上に時間がかかることもある。ヴァレリオによると、暗くなる前に帰る自信が100%じゃないときは、ヘッドランプも携帯したほうがいい。

ロードランニングではスマホを家に置いていく人もいるけれど、トレイルランニングではスマホが頼みの綱になる。また、不慣れなルートを走るときは、電波が入らなくなる前に地図をダウンロードして。このようなアイテムが手元にあると分かっていれば、不安やストレスが減り、トレイルランニングがもっと楽しいものになる。

ペースを落とす

ロードランニングに慣れている人にとっては理解しがたいかもしれないけれど、ペースを落とすのは全然悪いことじゃない! 舗装された道では強度を上げるためにペースを上げる。でも、トレイルランニングは、そんなことをしなくても十分に強度が高い。うねうね道では小さなスタビライザーマッスル(直立の姿勢を維持するために働く筋肉)が使われるし、急な上り坂では臀筋が、急な下り坂では大腿四頭筋が鍛えられる。

トレイルランニングには障害物も付き物で、大きな木が倒れていたり、シカの家族が現れたりしたときはスローダウンするしかない。だから、ロードランニングのときほど速く走れないからといって自分を責めたり、自分のパフォーマンスを低く評価したりしないで。ロードランニングとトレイルランニングは完全に別物であることを覚えておこう。

足元に気を付ける

トレイルでは足元の1mほど先を見て走るべき。バレリーナのように軽いフットワークを心掛け、何の前触れもなく現れる岩や木の根は、飛び越えたり、通り抜けたり、いろいろな方向に動いたりして上手くかわそう。

「転ぶかもしれないという恐怖感から躊躇ったり体をこわばらせたりすればするほど、転ぶ確率が高くなります。リラックスして堂々と走ったほうが上手く流れに乗れますし、転んでからの立ち直りも早くなります(転ぶのは避けられないこと)」

予測不可能なトレイルランニングでは、自分のフォームも意識しやすい。「私は身を乗り出すようにして急な坂を上るのが好きですね」とヴァレリオ。「上り坂でつらくなったら、太ももの上に置いた手を下にグッと押す感じで脚を支えてあげましょう」

汚れる覚悟をする

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SolStockGetty Images

トレイル上には土やぬかるみも、水たまりや小川もあるけれど、ためらわずに飛び込んで!

「それを笑って楽しむのもトレイルランニングの一部です」とコシック。「私自身、ゴリラのように四つん這いで歩いたこともありますし、滑りやすい地面の上を這って進んだこともあります。木や岩につかまって体を前に出すこともありますよ」

コシックによると、薄手の手袋をはめていれば、得体の知れない樹液が手に付くことを心配しなくて済むし、濡れた木や汚い岩をつかむことにも抵抗がなくなるはず。「少しでも守られていることが分かっていれば気持ちに余裕が出てくるので、ためらうことなくトレイルランニングを楽しむことができますよ」
 

※この記事は、アメリカ版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Ashley Mateo Translation: Ai Igamoto

Ashley Mateo is a writer, editor, and UESCA- and RRCA-certified running coach who has contributed to Runner’s World, Bicycling, Women's Health, Health, Shape, Self, and more.
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