頭痛の原因にも! 実はこんなに大きい「カフェインの影響」【医師監修】

あなたも依存症になっているかも!?

cup of coffee with grains on wooden background
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普段よく口にしているコーヒーや栄養ドリンク。そんな身近な飲み物には、“カフェイン”が含まれているもの。実はこのカフェイン、想像以上に私たちの心身に悪影響を与えているって知ってた? 今回はカフェインがもたらすさまざまな悪影響から摂取時の注意点などを医師の御川安仁先生に教わった。「最近、やけに不安を感じる……」「以前より疲れやすくなった」などと感じている人はぜひ一読を(以下「」内・御川先生)。

Q.そもそも、カフェインとは?

A.コーヒーや緑茶などに含まれる天然の植物成分

「コーヒー豆、茶葉、カカオ豆、ガラナなどに含まれる天然の食品成分のひとつです。国や食文化によって違いはありますが、日本ではコーヒーや紅茶、緑茶などが主な摂取源でしょう。コーラやエナジードリンクなどの清涼飲料水には、抽出されたカフェインが添加されています」

Q.カフェインがもたらす心身への悪影響は?

A.数えきれないほどの悪影響あり! 

shot of a young woman holding her head in discomfort due to pain at home
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「カフェインは交感神経に刺激を与え、ストレスをかけているのと同じ状態を体にもたらします。

それによって、血圧の上昇、心拍数の増加、不整脈、不眠症、胃痛、胃腸障害、副腎疲労、手の震えなどをもたらし、さらには骨粗鬆症、脱水症状、筋肉の痛み、冷え症、頭痛、パニックや不安感を起こしやすいなど、さまざまな悪影響を招きます。

 特に妊婦の方は流産の可能性や低出生体重児の出生率が高まる可能性があるため、摂取には十分な注意が必要です。大人は半減期が4時間、赤ちゃんの場合は半減期が100時間というデータがありますから。妊活前の女性もカフェインの過剰摂取をしてしまっている場合はぜひ、将来の妊娠に備えて、今からでもカフェインレスを心がけてほしいものです。

 カフェインを含むコーヒーなどの飲み物を摂取するのが日課になっていて、摂取しないとイライラしたり、上記の症状が出る場合は既に“依存症(中毒)”になっている可能性がありますよ」

Q.逆に良い影響は?

A.最も有用で知られているのは“眠気予防”

「メリットは覚醒作用による眠気予防をはじめ、認知症(アルツハイマー)予防、一部のがん抑制、心筋梗塞や糖尿病、うつ病の予防、抗酸化作用による美容効果、脂肪燃焼(ブラックコーヒーに限る)などが考えられます」

Q.カフェインを含む飲食物は?

A.代表格はコーヒーや緑茶

warm green tea on a wooden table
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「カフェインを含む飲食物はコーヒーや玉露、緑茶、チョコレート、ココア、烏龍茶、紅茶、ほうじ茶、ジャスミン茶、コーラ、栄養ドリンク、エナジードリンクなどです。カフェイン含有量は玉露100mlで約160㎎、ドリップコーヒー100mlで約60㎎、緑茶100mlで約20㎎と言われています。

ただし、緑茶や紅茶は1回に摂取するカフェインの量自体が少なめなのと、カフェイン以外に含まれている天然成分(テアニン、食物繊維等)により、コーヒーなどに比べてカフェインの影響はかなり軽減されます。

 デカフェのコーヒーも実は多少のカフェインが含まれていますが、普通のものよりは断然少ないので、完全にカフェインレス生活が難しい場合はデカフェのコーヒーを選んでみるなどの工夫をしてみましょう」

Q.カフェインを含むドリンクを摂取するなら、1日にどれくらいまでOK? 

A.コーヒーなら1〜2杯程度に留めて 

「健康体の成人である場合、1日にコーヒーならコーヒーカップで1〜2杯程度なら問題ないと言われています緑茶も食後に熱いものをせいぜい沢山飲んでも2杯くらいでしょうから、1日でも6杯程度のはず。それなら、こちらも問題ないでしょう。ただし、ストレスの強い方やすでに疲れてしまっている人、その他、心身になんらかのトラブルを抱えている方は摂取を控えたほうが良いでしょう。

 私も論文を書いたりするために、やむを得ず、カフェに通い詰める時期があります。私は遺伝子的にカフェインの分解能力が低い体質のため、カフェイン入りのコーヒーを連日飲んでしまうと、案の定、体が痛くなったり、動悸がします。ですから、そうなってしまったあとは、徹底的にカフェインを抜く生活を送ります。みなさんもご自身の体がカフェインを分解する能力が強いか弱いかを知りたければ、遺伝子検査することもできます。ちなみにカフェインを過剰に摂ってしまった場合は、水分をたっぷり摂って利尿作用を高め、排出を促すことくらいしかできないので、最初から摂りすぎないように注意することが重要です」

Q.カフェイン中毒の離脱症状ってあるの?

A.頭痛が出る方が多くいます

「あまり知られていないのですが、カフェインを抜くと、カフェイン離脱症状による頭痛が出る人はとても多くいます。カフェインによる頭痛は、片頭痛が起こる現象に似ています。具体的に言うと、カフェインを抜くことで脳の血管が急激に拡張して起きるんです。

 ファスティング中にカフェイン離脱頭痛が出る方も多くいます。この頭痛を回避したい場合は、ファスティング開始前、早めにカフェインを抜くことに限ります。カフェインを早めに抜く以外にできるのは、ファスティング前からファスティング中にマグネシウムをしっかり摂取すること。マグネシウムを含む飲食物はワカメやアオサなどの海藻類、米糠、アーモンド、ごま、大豆、干しえびやしらす干し、ししゃも、あさりなどの魚介類、天然塩(海の塩)などがあります。しっかり摂取したい場合はサプリメントがおすすめです」

Q.御川先生ご自身は普段、カフェインとどう付き合っている? 

A.できる限り、摂取しない生活を意識! 

freshly brewed rooibos tea on wooden table, closeup
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「やむを得ない状況以外は、カフェインを含む飲食物を摂取しないように意識しています。例えば、ドリンクはノンカフェインのものを複数準備して飲んでいますよ。前職の勤務地であった高知県の四万十の玄米コーヒーをはじめ、ルイボスティーや麦茶、十六茶、ハト麦茶、オーツ麦茶、水、炭酸水などで対応しています」

どうだった? つい惰性や暇つぶしで毎日カフェに行ってコーヒーを飲んでいる人、エナジードリンクにハマっている人などは、知りたくない現実を突きつけられたはず。カフェインがもたらす心身への影響は良い影響もある反面、想像以上に悪い影響が多いうえに深刻なことばかりだから、今日から早速、カフェインレス生活を心がけてみて。

【教えてくれた人】

御川安仁先生

御川安仁先生

医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(東京都・四ツ谷)院長、統合医療・栄養療法医師。1995年、岡山大学医学部を卒業し、麻酔・集中治療・救急医療・痛みの治療(ペインクリニック)を中心に研鑽。2005年より、「病気にならないようにする、できるだけ薬を使わずに治療する」ために補完代替医療を学び、2015年にナチュラルアートクリニックを開院。「自己回復力」を高め、病気にならない体をつくるための医療を続けている。ウィメンズヘルスのファスティング祭りでは監修を務める。

公式HP

Text:ERI HAMADA

ウィメンズヘルス・副編集長 出版社で編集者としてファッション誌、ライフスタイル誌、料理誌など多くの雑誌制作に携わり、アプリメディアの編集を経て現職。健康オタク歴20年以上、“効率よく体と心を整えて環境にもいい”健康法を探り、伝えるのがライフワーク。整理収納、ファスティングなどの資格を持ち、趣味は「毒出し」。アメフト、バスケ、フットサルなどのチアリーダー経験あり、勝手に人を応援しがち。ウィメンズヘルスでは「大切な人に勧めたいものしか紹介したくない!」と目を血走らせ、常に情熱大陸に上陸中。 
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